歴史をつなぐ「お玉ヶ池」再生プロジェクト完了報告書
歴史をつなぐ「お玉ヶ池」再生プロジェクト完了報告書
安芸高田市八千代町土師の田屋城址北約 200m に位置する通称「お玉ヶ池」は、かつて棚田を潤した歴史ある農業用ため池です。この池の再生を目指した本プロジェクトは、多くの皆様からのご支援とご協力により、無事に完了いたしました。以下に、プロジェクトの実施内容をご報告いたします。
1. 事業概要と資金調達
本プロジェクトは、NPO 法人ひろしま人と樹の会が中心となり、クラウドファンディング(CF)と有志によるご寄付を原資として実施しました。
- 資金調達: クラウドファンディング(CF)で 1,070,611 円、その後も有志から463,000 円のご支援をいただきました。
- 事業期間: 2024 年 6 月 20 日~8 月 3 日
- 準備: 土地の使用許可手続きをはじめ、重機の手配、仮設道の設置、排水設備の準備など、安全かつ円滑な作業のための準備を綿密に行いました。
- 安全作業サポート:指導資格者(桧谷様)からチェーンソーでの伐採や林業機械の取り扱いなどサポートをいただき安全作業の技術向上を図りました。
特に、重機の手配においては、林業経営者の桧谷様にバックホウ 1 台と林業用ダンプの借上げ交渉の担当や所有の林内作業車 2 台をお借りしました。また林業家の新本様には所有のバックホウをお借りするなど、専門家の皆様に多大なるご協力をいただきました。
2. 作業工程と技術的な挑戦
再生プロジェクトは、複数の専門的な作業が並行して進められました。
(1) 仮設道の設置
バックホウでの池内清掃のため、幅 2m、長さ 30m の仮設道を新本様の指導のもと設置しました。黒土で地盤が軟弱なため、丸太を敷き詰めて補強しながらの困難な作業となりました。また、バイオマス発電用材搬出のためにも、広葉樹林内に別途約100m の搬出道を設けました。
(2) 池周辺の樹木伐採
池の土手にある大径木や、台風で倒壊し危険な木、ツルが巻き付いた木などを、チェーンソー指導資格者である桧谷様の指導のもと伐採しました。特にツルが絡まった木は長柄のノコや、木に登り、ツルをノコで切り離し処理しました。かかり木は、重機や林内作業車で牽引するなど難しい作業となりました。
(3)期待高まる池の底、歴史が眠る「宝物」探し
この池は、戦国時代の田屋城主の菩提寺であった大徳寺の跡地という歴史的背景があります。また、池の所有者の一人である大徳邦彦さんの「子どもの頃は泳いでいた」という思い出から、池の底には「宝物」が眠っているのではないかという、大きな期待が寄せられていました。そこで寺跡近くを中心にバックホウを使ってヘドロを掘り起こし、宝物探しも試みられましたが、残念ながら発見には至りませんでした。一方で池には体長約 50cmの鯉2匹やフナなどが生息しており、これらの魚は一時的に別の水槽に移し、池の修復後に戻すこととしました。
(4)困難を極めた埋没物の撤去作業
池の底には、水深 1.0~1.5m にも及ぶ分厚いヘドロの中に、多くの埋没木が埋まっていました。桧谷様が胸まで水に浸かりながら、埋没木にワイヤーを括り付け、林内作業車で引き抜くという、困難な作業に取り組みました。
(5) 池の土手修繕工事
池の決壊箇所は、専門業者である矢賀谷農機商会様に委託しました。バックホウを駆使し、池のヘドロとセメントを混ぜて突き固めるという高度な技術で、崩壊した土手を完全に修繕してくださいました。その手際の良さと専門技術には目を見張るものがありました。
(6) ヘドロの除去
新本様所有のバックホウを使用し、大徳寺跡地周辺を中心に約 30 ㎥のヘドロを林業用ダンプで運び出しました。ヘドロが大量でバックホウが沈む危険があったため、一部の処理となりましたが、除去したヘドロは今後樹木の栄養となるよう分散して処理しました。
3. 子どもたちが遊べる場の整備
池の再生と並行して、未来を担う子どもたちが安全に自然体験できる場の整備も行いました。
- ナラ枯れ病被害木の伐採: 参加有志がチェーンソーを使い、直径 20~80cmの被害木を伐採しました。桧谷様のご指導のもと、チルホールや重機を活用し、安全に作業を完了させました。
- 材の搬出: 伐採された材は、林内作業車 2 台を使い、約 400m 離れた場所まで 13 回にわたり運び出しました。その総量は約 27 トンに上り、8 月 8 日にはゴールドフォレスト社に引き取られバイオマス発電に利用されます。
4. 謝辞
猛暑日が続く中、延べ 116 名の皆様が本プロジェクトに参加し、汗を流してくださいました。特に、重機の手配から現場での技術指導まで、精力的にご尽力いただいた桧谷様、新本様には心より感謝申し上げます。また、笹野様をはじめ、クラウドファンディングのリターンとして作業に参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。
この活動は7月27日には森づくりフォーラムから、7 月 31 日には中国新聞社から取材を受け、8 月 11 日の国民の祝日「山の日」に合わせて記事として掲載されました。(添付記事参照)
多くの皆様のご支援とご協力のおかげで、「自然と歴史を未来につなぐ」という当初の目的を達成し、子どもたちが自然に触れ、学び、心を育むフィールドを取り戻すことができたと思います。皆様に改めて厚く御礼申し上げます。

